大高宏雄のべらんめえ映画道場


 

第3回

第9回日本映画プロフェッショナル大賞授賞式レポ


 

 第9回日プロ大賞授賞式、本当に充実したと思いますね。まず私が例によって、開会の辞で日本映画の現状及び9回続いた意義のようなものを述べ、それから受賞の方たちが壇上に上がり、まず全員が揃った段階で以降、一人一人に個人賞の授与や質問を行なっていったのは昨年と同じ。
私は、「日本映画は面白くなっている。この9年間で質の向上が明快にあるのに、日本映画の普及の仕方は相変わらずだ。陽の当らない傑作・力作を賞揚する日プロ大賞の意義はだから、まだまだ有効のはず」というようなことを、少し長めに話してある種の緊張感を場内に漲らそうとしたわけだ。

 受賞者は登場順にいうと、新人奨励賞のつぐみ、新人監督賞の塩田明彦、特別賞の佐々木史朗、監督賞の中江裕司、主演女優賞の吉本多香美、主演男優賞の西島秀俊、作品賞(『どこまでもいこう』)の松田広子といった人たち。
 特別賞の竹内力は、翌日が結婚式(!)ということで、当日欠席。事務所からは、どうしても出たかったのだが、結婚式前日ということで本当に申し訳ないとのメッセージがあった。
まあ例年からすると、地味な感じの受賞者という感じは否めなかったね。本音をいうと、受賞者の大きなバリューで“動員”を上げたいというのがあるんだけど、本当にストレートな選考でそうなったんだから、致し方ない。竹内さんに、遠方からの女性ファンの問い合わせが結構あって、竹内さんが来ていたら、また少し違った授賞風景が見られたかな。

 しかしね、今回は完全に中身勝負。うわべの一過性のファンなんてほとんど皆無で、だからこそ逆に授賞式の“クオリティ”のアップが見られたと言ったらいいか。とにかく私自身、何かに促されるように質問自体に集中できたんだね。そしてその反応がまた、各々見事なくらい充実していた。
 塩田監督が、乗ってくれたね。つぐみを一瞬だけ見て、ヒロインに決めた話や故・大和屋竺監督の影響なんか、長々と話していた。後からスタッフの持永くんだったかな、久しぶりに監督らしい話が聞けたと言って感動してたな。私が打上げの時に、増村保造若尾文子の関係みたいだねって言ったら、彼、照れてたけどね。

 『ナビィの恋』のプロデューサーである佐々木さんは、当日左目に眼帯してきてびっくりしたよ。最初劇場に来た時、『月光の囁き』だよとシャレていたが(つぐみが映画の中で眼帯をする)、壇上で聞いたら、数日前に目が醒めたら左目が見えなくなっていたらしいんだね。でもこの日来てくれたんだから、本当うれしかった。ふつうそういう時、人前に出るのはイヤだし、凄くめんどうなんだよね。佐々木さん、有難う。
 しかし佐々木さん、受賞はちょっと気が重いなんて言っていた。若い人の中で、私みたいなのがいるのが、何となく嫌だったみたいなのだが、「イヤイヤ、『ナビィの恋』の成功を生かして、もっともっと映画を作ってもらいたいから賞が決まったんだ」と言ったら、「ウン、それならがんばるよ」と応答してくれたのが良かったよ。

 順序が前後するけど、つぐみはいいね。目がキラキラしてて、一番目立っていたなんて意見もあったけど、まさにそのとおり。塩田監督が一発で決めただけある。彼女への花束贈呈は『月光の囁き』の原作者・喜国雅彦さんにやって頂いた。
 吉本多香美に関しては、終ってから司会の伊藤さとりさんに、映画の中の暴力シーンのことは訊かないで下さいってマネージャーの人に釘をさされてたって言われて、ちょっとびっくりした。だって俺、そのことを集中して訊いてしまったんだからね。でも『皆月』で、それはハズせないだろう。吉本さんは、嫌な顔もせず(?)答えてくれたけどね。
 西島秀俊は、よくしゃべった方だろう。公の場では、あまりしゃべらないって聞いてたから、少し心配してたんだけど、よく話してくれたと思う。映画(『ニンゲン合格』)を観終わった女性が、生(ナマ)の雰囲気と全然違う。映画は別人みたいで、さすがは俳優だなあなんて言ってた。花束をもって大杉漣さんが飛び入りで入ってきたとき、西島さんびっくりしてたな。というより、すごく安心した感じで、満面笑みなんだ。大杉さんが、「俺、(君のこと)好きだよ」って言うと、西島さんも「私も好きです」なんて言ってしまって、良かった、良かった。

 実はね、私が一番恐縮してた受賞者が、中江監督だったんだ。中江さん、沖縄に住んでるんだけど、当日はわざわざ日プロ大賞のために来てくれたんだね。でね、私、旅費一切出してないんです。失礼極まりないんだが、前もって会った時に、ゴメンナサイ、旅費、宿泊費出ないんですって、甘えてしまったわけ。これは、本当に情けないことなんですよ。心の中で、頭を下げっぱなしだったけどね。これは、日プロ大賞の問題の一つ。
 作品賞のプロデューサー・松田さん。面識なかったけど、初めて会った印象は、非常に良かったね。変に映画をやってますっといった、ある女性たちに特有の“ガンバリ”みたいなのが、見えなくて良かった。ふつうの人っていう感じがして、それが凄く大切なことなんだ、映画をやっていく上で。場内の人も、受け答えを見てそれを感じたんじゃないかな。

 授賞式が終って、プレミア上映『不貞の季節』の廣木隆一監督、出演の大杉漣、星遙子の3人が登場してくれた。乗ってたのは大杉さん。“漣”印のコンドームもって、大ハシャギ。欲しい人、手を挙げてって、これも良かったな。本当はもっと3人の話を聞きたかったんだけど、この時点ですでに30分押し。ムチャクチャ授賞式が延びてしまったんだ。
 まあ、そんなこんなんで、授賞式は無事終了した。壇上には上がらなかったけど、製作会社・国映のスタッフも、佐藤社長(オネエ!)はじめたくさん来てくれたね。後から、『OLの愛汁・ラブジュース』の田尻裕司監督にも紹介された。

 日プロ大賞の審査員では、批評家の阿部嘉昭、映画評論家の塩田時敏、文筆家の切通理作、メディアボックスの市井義久、ヒューマックスの臼井一郎らが来てた。切通くんには、吉本多香美の花束贈呈役まで頼んだりしたが、ご苦労さんでした。一緒にいた女性は奥さんかな。なかなかいい女でありました。塩田さんにはゴメンナサイ。竹内力さんの代役・甲賀瑞穂に花束を渡してもらおうと思ったのが、その甲賀さんも来れなくて、お役御免。また今度頼みましょう。
 第9回日プロ大賞。地に足、ついたね。クオリティを優先させろということ。アンケートも、大方好評で安心した。さて、来年で10回目。まさしく、節目です。どうしようかな。もし、何か希望みたいのがあったら、メールでも下さい。多いに参考にさせてもらうつもりですから。(4月20日)

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